埼玉のとある田舎に住んでいた頃の話である。
当時はサラリーマンだったので、飲み会を始めとする様々な付き合いがあった。
「おい、駅からちょっと遠いけど〇〇に行こうぜ。耳かきとかしてくれるらしい」
そう遊び人の先輩から誘われ、私は断ることもできなく、とりあえず付いて行った。
そのお店は小さな看板があるだけで、HPもないようなオトナのお店だった。
ちょっと怪しい雰囲気もあったので怖かったのだが、先輩が「奢るよ！」とノリノリで言ってきたので、勇気をもって入店。
想像より綺麗だったのだが、まず目に飛び込んできた観葉植物の大きさがとんでもなかったり、ルンバの偽物？みたいな掃除機が壁に沿ってゆーっくり動いていたり、なんだか奇妙な感じではあった。
「そもそもなぜこんな場所を知っているの？先輩って何者？」と先輩に対する不信感と憧れを感じつつ、部屋に連れていかれる私。
やや薄暗く、1時間目を瞑って聞いていたら絶対に寝てしまうかのような静かな音楽が流れていた。
「耳かきから始めますね」と言われ、おとなしく耳かきをしてもらう姿勢に。
誰かに耳かきをしてもらうなんて15年ぶりぐらいなので、妙に緊張した。
そして…「わっ！汚～い！奥まで掃除しておきますね～！！ﾌﾞｽｯｯｯ!!!!!!」と強めに刺されたのだ。
痛すぎる。本気で鼓膜が破れたかと思った。
おそらく超初心者の方だったのだろう。。
『今度は”ちゃんとしたお店”に来よう』と胸に誓った日だった。
ちなみに、その後の先輩の誘いは全て断った。
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