保証債務の特質

保証債務の特質

 保証債務はもっぱら主たる債務を担保することを目的として存在するものであることから、つぎのような特質を有する。
⑴付従性
 ①主たる債務がなければ保証債務は成立できず(成立における付従性)、②主たる債務が消滅すれば保証債務もまた消滅する(消滅における付従性)。しかし、その主たる債務は必ずしも現実に発生していることを要せず、将来増減する債務額を一定の限度まで保証する、根保証制度がある(465条の2以下)。 注1
 右のほかに、③保証債務は主たる債務とは別個の債務だから、それ自体の目的および態様があるが、これは、主たる債務の目的または態様より重くあってはならない(内容における付従性、448条1項2項)。もっとも、保証人がその債務について違約金や損害賠償の額を約定することは妨げられない(447条2項)。この場合には、保証債務の目的または態様自体が変えられるのではなく、その履行を確実にすることが考えられているにすぎないといえるからである。

⑵随伴性
 保証債務は主たる債務に随伴して移転する。

⑶補充性
 保証債務は、主たる債務者が履行しないときに、はじめて履行すればよい(446条1項参照)。このことを補充性という。その法律的な現われとして、保証人は、債権者に対して、まず主たる債務者に請求せよという抗弁(催告の抗弁権、452条)と、まず主たる債務者の財産に執行せよという抗弁(検索の抗弁権、453条)とをもつ。もっとも、連帯保証にはこの補充性はなく、したがって右の両抗弁もない(454条)。

ダットサン『民法2』3版(2009年)勁草書房127頁-128頁参照

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